BSガンとTMガン
現在、エアガンといえばBB弾を使うと相場が決まっているが、かつて各社それぞれの方式のエアガンを出していた時代があった。そのころの弾丸は多くが「ツヅミ弾」という、丸い弾頭部と、空気を効率的に受け止めるスカート部がらなるものだった。そもそもこの弾頭形式は、鉛の弾丸を発射する空気銃(エアライフル)に範を取ったものである。
昭和50年頃、子供向けのエアガンはビニール製のツヅミ弾を発射するBSガンシリーズが一世を風靡し、マンガ雑誌の裏表紙通販ページなどをにぎわせていた。これらは、形こそライフル銃なのだが、弾丸を込める部分はリボルバーのようなシリンダーであり、そこにあらかじめツヅミ弾を込めておく。ボルトを引いて狙いをつけたら引き金を引く。スプリングの威力で圧縮空気が弾丸を押し出す。
こんなおもちゃでも確か数千円の値段がしたと思う。そんな中、2000円台で発売されたモデルがあった。それがピストル型のBSバッファロー08である。ライフル形式のBSガンが、木の様なブラウンのストックを持っていたのに対し、BSバッファロー08は全体が黒で、なんか子供にはカッコいいと思われるスタイルで発売されていた。僕は通販でこれを買い、バンバン打ちまくった。後に、BSバッファローをベースに、バレルやスコープ。ストックを組み合わせて改造できるデタッチャブルというシリーズが発売されたが、バレル交換式になった分エア漏れが大きく、オプションのスコープも、単に形だけの、透明プラ板がはめられた無意味なギミックだった。
その後、別の会社からTMガン(テムガン)というシリーズが発売された。最初のモデルがTMガン5000、ボルトアクションライフルで、なによりすごいのは、薬莢と弾頭が分離した、実銃の様な弾丸である。デザインもM1カービン封で、これまでのBSガンの「なんとなく銃」の域を超えていた。ただ、いきなり45コルトくらいのでかい弾だったので、命中精度はBSガンに劣ると思われた。しかし友人がこれを買うと、僕もBSバッファロー08では満足できなくなり、お年玉でTMガン7000を買った。これはウインチェスターライフルタイプで、実際に弾丸をチューブに装填してレバーアクションで俳莢できる優れものだった。TMガンはこの二機種と、もう一つ変なSFっぽい未来銃があって、別の友達が持っていた。僕らは集まって部屋の中でマッチ箱を吹き飛ばしたり新聞紙に穴を開けたりしていた。
そのうち、最初にTMガン5000を買った友人が、東京在住のおじさんがすげーのを持ってきたというので行ってみたところ、そのおじさんは新発売のTMガンスーパースポーツ(SS)を持っていたのだ。これはTMガンシリーズの最高峰であり、当時9000円程度したはずだ。それまでのTMガンがM1カービンやウインチェスター77をもとに作られたおもちゃであるのに対し、これはもう競技用ライフルを意識した精密なモデルだった。六畳間の向こうに置かれたろうそくの芯を打ち抜いて炎を消したり、軒下の蜂の巣に群がる蜂に命中させたり、とにかく命中精度、威力とも桁外れだった。弾丸もそれまでのTMガンシリーズの、45コルト風で、半円に、薬莢差込部の突起があるだけの弾頭ではなく、小型のツヅミ弾が薬莢にはまったライフル弾風の形だった。
のちにこの会社は「TMガン」という名前を捨て、「スーパースポーツ」の略称である「SS」を全機種に採用する。
オリジナルの「スーパースポーツ」はSS-9000、TMガン7000はSS-7000、TMガン5000はSS-5000という具合だ。やがてSS-9000以外のモデルは製造終了するが、9000シリーズはツヅミ弾をBB弾に変え、長い間エアガンの最高峰に君臨し続けたのである。
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