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後藤寿庵とパソコン Part4

前回の続き…

以前も書いたが、僕はLisaやMacが発表されたとき、あまり興味を持たなかった。カラーはないし高いし。要するにビジネス向けのコンピューターなんだという印象を持った。雑誌の写真ではない、実物のMacを見たのは、確か大学時代に友人と行った平和島のマイコンショーだったかなあ。CanonのDynaMac(当時Appleの代理店だったCanonが、本社の日本語対応の遅れに業を煮やして自前で漢字ROMを半田付けして発売したモデル)の画面に高層ビルが描かれていたのを記憶している。なにしろ一枚絵をただ表示していたので、GUIもへったくれもないのだが、なんか不思議に惹かれるものを感じた。

その後秋葉原でMacを置いている店を色々見て回ることになる。当時九十九電器とかではいつもチェック柄のボールが画面を高速で跳ね回るデモを流していた。ビジネスマシンっぽいけど、こんなに速いアニメーションができるのかと感心した。実はあれはアンディ・ハーツフェルドだか誰だかが、Amigaのデモをまねして「Macだってこれくらいできるぞ」とばかりに作った物らしい。よく考えるとあれはループアニメーションであり、当時のmacの画面はわずか20KBかそこらしかないので、全部のフレームをあらかじめメモリ上につくっちゃって、連続表示すればできることだったんだな。別にフレームごとに座標計算して書いては消ししていたわけではないのだ。ちくしょう、だまされたぜ。

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後藤寿庵とパソコン Part3

前回の続き…

NAPLPS規格の特徴は、極力デバイスの物理解像度に依存しない仕組みを作っていたことであり、ピクセルにあたる単位をペルという抽象化された矩形にしたうえで、直線、曲線、多角形などを描画するものだった。ビットマップも描画できたが、伝送量の少なくなるベクトルデータを使用することが基本だったと思う。

newapのオーバーレイモジュールというのは、プログラム本体から呼び出される画面表示のための小さなプログラムである。いまならPhotoshopのプラグインに近い概念だと思う。これが行うべき処理はただひとつ。画面に塗りつぶした矩形を描くことなのだ。直線、曲線、多角形などは、この矩形を使ってnewnap本体が描画するのである。

この仕組みは描画速度という点では不利だと思うが、モジュールの作成は非常に簡単なのである。なにしろ四角形を描くだけなのだから。これはアセンブラで書いても全然面倒くさくないレベルの作業だ。

ついでに、モジュールには、コマンドラインオプションも渡される事になっていたので、これを利用してプログラム起動時にオプションを指定して画面モードやカラーの使い方を指示する事が出来た。MSX2の、高解像度で16色のモードを使うか、低解像度で256色のモードを使うか、さらにインターレースモードを使うかといったスイッチを仕込むことが容易に出来たのだ。

これはびっくりするほどの効果を得られた。Royさんの本体プログラムが偉いのだが、きわめて短いプログラムでさまざまなモードを駆使し、同じ画像を高解像度で表示したり、多色で表示したりできたのだ。僕にとって、MZ-80でのパックマン以来の面白いプログラムだった。

このころも僕は絵描きだったので、絵を表示するのではなく作成するプログラムにも興味はあった。NAPLPSデータを作成するお絵かきツールをBASICで書いたりしていた。名づけてNGM=Naplps Generator for MSX2。ただ、これはマウスを使って絵を描くだけではデータは完成せず、色々手動でデータを完成させる必要があったし、UIも洗練されていないものだった。

そんな時、僕はMacintoshに興味を抱く。秋葉原で見かけるMac Plus。店頭デモ機には大概MacPaintやSuperPaintがインストールされていた。いじっていると面白い。画面上端のメニューバーと、描画ツールを選ぶツールボックス、自在にスクロールできるウインドウといったものに惹かれていた。だが、いかんせんMac Plusが398000円の時代である。僕はMSX2でMacみたいなお絵かきツールを実装しようと思い立つ。

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後藤寿庵とパソコン Part2

前回の続き…

僕が大学に入った頃、秋葉原はまさにパソコンの黄金期に入りつつあった。まだ8bit機も多い時代で、ショップにはNEC、シャープ、富士通、東芝、日立などなど、さまざまなメーカーのさまざまな機種が展示されていた。おおむねホビーには8bit、ビジネスには16bitという時代だ。8bitはやはり全体としてNECのPC88シリーズが強かったとはいえ、他社の機種にもファンが多く、群雄割拠の様相を呈していた。富士通はFM-7,77と出し続け、シャープはX1シリーズがホビー層に人気だったし、アスキーの提唱で各社が製造したMSXは、安価なゲーム機とパソコンの中間的な存在として若年層に使われていた。16bit機は早々にNECのPC98シリーズが主流になり、富士通のFM16βがしばらく頑張ってはいたが、やがて衰退していく。

貧乏学生の僕は、しばらくFM-8を使い続けていたが、とっくに古臭くなった機種であることが、逆に面白い状況を生んでいた。秋葉原のはずれのビルの二階にあった小さな店で、OS-9 for FM-8のパッケージを見つけた。覚えていないが、小遣いで買えるほど安くなっていた。8bit機で走る、本格的なマルチタスクOSをいじるのはわくわくしたものだ。とはいっても、結局「いじってみた」の範囲を出ることはなく、使いこなすにはいたらなかった。

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